2024.05.31
適応障害
適応障害について
進学や就職、異動、結婚、死別、重い身体の病気など、重大な生活の変化や社会環境のストレスにより、新しい環境にスムーズに適応できず、不安やイライラ、眠れなくなる、食欲がなくなる、体がだるいなどの心身の症状が現れる状態です。これは怠けや適応能力の低さではなく、誰にでも起こりうるものです。この結果、不登校や職場での不適応、別居や離婚につながり、うつ病に進展することもあるため、早い段階で医療機関に相談することが望ましいです。
主な適応障害の症状
心の症状
- いつも以上に何事にも不安になる
- 気持ちが焦り、ソワソワする
- 気分が落ち込む
- 周囲のことが気になり、感覚が過敏になる
身体の症状
- 食欲がなくなる
- 寝つきが悪くなり、眠っていても目が覚める
- 疲れやすく、体がだるい
- 胸のどきどきや息苦しさ
- 頭痛や肩こり、腹痛が現れる
適応障害の原因とうつ病との違い
適応障害は特定のストレスが原因で心や身体に様々な症状が現れる状態です。仕事関係や家庭環境、生活リズムの変化が主な原因で、最近ではコロナ禍で職場や家庭環境が変わったことで発症する人も増えています。責任感が強い、几帳面、物事を徹底的にやりたい、周りの評価が気になる、傷つきやすいといった性格の方は特に注意が必要です。適応障害の症状はうつ病と似ていますが、ストレスがない環境では比較的元気でいられる点が異なります。しかし、適応障害を放置すると、うつ病へと進展する可能性があるため、注意が必要です。
治療について
環境調整
まずはストレスの軽減を目指します。ご本人では気づかないストレス因について、医師と話し合うことが有効です。必要に応じて休職や休学を行い、心と身体を休ませることが重要です。周囲の理解を得て、仕事内容の軽減や配置転換を依頼することもあります。
薬物療法
抑うつや不安、睡眠障害などの症状に応じて、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを患者さんと相談しながら適切に選択します。
心理療法
悩みを話し、心の整理やストレスを溜めない工夫を一緒に考えていきます。再発防止のために適度な休養や気分転換、自分のペースを保つことを診察を通じて振り返ります。
適応障害は適切な治療を受ければ改善しますので、早めの相談が大切です。